31歳。漫画家のアシスタントを始めて7年。大学を出てすぐに入った会社は1年で辞めてしまった。「本当にやりたいことってなんだっけ」と偉そうなこと思った結果である。そしてなんやかんやあって、7年。「本当にやりたいことってなんだっけ」とまた思い始めているから世話がない。

5年前から付き合っている彼女がいる。大学の後輩、29歳。「なんで自分と一緒にいるんだろう」そう考えている間に時間は経った。

僕の彼女の口癖は「なんとかなるっしょ」。ネガティブなニュアンスはいっさいなく、彼女はそう言う。

久しぶりにCDを買った。ツイッターだかインスタグラムだか忘れてしまったが、どこかでなんとなく目に入った。「信じ続けることで失うものなんて何もないよ」。大層なタイトルを付けるもんだと思った。どんな顔してつけたタイトルだと思った。こっちの気持ちも知らないで。そりゃ知らないんだろうけど。

最初は買うほどではないと思った。でもそのタイトルが心に引っかかって仕方なかった。漫画家という夢を、まだ信じ続けることができるのか。信じられないわけではない。ただ信じ続けることには、少し自信がなくなった。続けるって、全部自分のおかげで全部自分のせい。そんな気持ちが日に日に腹の中で大きくなってきた。そんな中での出会いだった。

僕の彼女はこうも言う。「迷ったときに続けられるのは、好きなほうなんじゃないかな。だから好きなことやってるのはいいんだと思う」ネガティブなニュアンスはいっさいなく、彼女はそう言う。  

慌ててCDのクレジットを見る。安心した。彼女はこのバンドのメンバーではなかった。このバンドも彼女も、なかなか凄いこと言うもんだな、と思う。


僕の番にはなんとなくこんな感じで、アルバムに出会ってくれた人(これから出会う人)のドラマを想像で描きたいなと。これをアルバムのライナーノーツとさせていただければ思います。ふと思い出したら、読んでください。

竹中駿介

Blueglue「信じ続けることで失うものなんて何もないよ」リリースパーティ

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